フェムゾーンケアの重要性
フェムゾーン(女性の生殖器周辺)のケアは、特に更年期における女性の健康において重要です。
更年期に伴う性ホルモンの減少によって、膣や外陰部の萎縮を引き起こし、「更年期の泌尿生殖器症候群(GSM)」という診断にいたります。
膣の乾燥、かゆみ、性交時の痛み(性交痛)、尿路の症状(頻尿や尿意切迫感)などの症状を認め、女性の生活の質に大きな影響を与えることがあります。
女性医師の役割
女性の患者さんは、フェムゾーン診察に抵抗を感じることが多いです。
女性医師はその心理的な障壁を軽減することができるため、患者さんが安心して相談できる環境や検査を提供することが可能です。
GSMの診断
- 問診
腟の乾燥感、性交時の痛み、尿漏れや頻尿の有無、症状の発症時期や程度などを確認します。過去の婦人科手術歴や現在の治療状況などの情報も非常に重要です。 - 視診と内診
外陰部や腟内の状態を視診し、粘膜の萎縮具合や炎症の有無を確認します。内診をすることによって、子宮の大きさや、圧痛の有無も評価可能です。 - 検査
必要に応じて、血液検査を行いエストロゲンや他のホルモンのレベルを測定します。また、膣内の分泌物の検査を行うこともあり、感染症の有無を確認するために培養検査をすることがあります。 - 他の病気との鑑別
GSMの症状は他の病気(例えば、膀胱炎や過活動膀胱)と似ているため、これらとの鑑別が重要です。適切な診断を受けるためには、専門医の診察を受けることが推奨されます。
GSMの治療法
GSMの治療には、ホルモン療法と非ホルモン療法の両方が含まれます。以下は、一般的な治療法の例です。
- ホルモン療法
膣内に直接投与する低用量のエストロゲン(クリーム、錠剤など)が推奨されます。これにより、膣の組織が再生し、症状が軽減されることが期待されます。 - 非ホルモン療法
潤滑剤や保湿剤、膣内に使用するヒアルロン酸製品などがあります。 - その他の治療法
HIFUなどの治療方法があります。HIFUは非侵襲的な治療法であり、超音波エネルギーを使用して膣内のコラーゲンを再生し、引き締め効果をもたらします。膣のゆるみや尿漏れの改善にも効果的といわれています。
お気軽にご相談ください
GSMの診断や治療は、患者さんからが安心してお話ができる環境造り、内診などもしっかりとできる環境が必要です。
女性医師による診察があることが、「勇気を出して泌尿器科に行ってみようかな」という気持になっていただけると思っております。
受診、内診など診察のハードルを下げ、女性患者さんの安心感につながるものと考えます。