精巣腫瘍(せいそうしゅよう)は、男性の精巣に発生する腫瘍で、主に20代から30代の若い男に多く見られます。
60代の男性にもみられることがありますが、悪性リンパ腫などが多いのが特徴です。
精巣腫瘍の90%以上は悪性であり、進行が速いと言われています。
精巣腫瘍は、精母細胞から発生する胚細胞腫瘍が大部分を占めており、セミノーマ(胚細胞腫瘍)と非セミノーマ(非胚細胞腫瘍)に分類されます。
放射線治療や化学療法はセミノーマに対して効果的ですが、非セミノーマは化学療法に対する反応が低いことが多いです。
症状
精巣腫瘍の初期症状は、痛みの伴わない精巣腫大や、精巣が石のようにゴツゴツと硬くなり、形状が不整になることが一般的です。
診断
初期診断は、触診や超音波検査、血液検査(腫瘍マーカー測定)を行います。
LDH,hCG-β,AFPといった腫瘍マーカーがあり、数値が高い場合は精巣腫瘍の可能性が高くなります。
また、肺や脳、腹部のリンパ節(傍大動脈リンパ節)に転移することもあり、CT検査やMRI検査などが必要となることがあります。
治療
治療方法には、以下のようなものがあります。
手術
腫瘍が確認された場合、精巣の摘出術(高位精巣摘除術)が行われます。
化学療法
転移がある精巣腫瘍の場合、化学療法をおこないます。
放射線治療
腹部のリンパ節転移(傍大動脈リンパ節転移)のあるセミノーマ(胚細胞腫瘍)に対しておこなわれます。また、脳転移に対する放射線治療や骨転移に対する緩和的な放射線治療も行われることがあります。
精巣腫瘍は早期発見が重要であり、早期診断・早期治療が行われれば、治癒率は非常に高いと言われています。
異常を感じた場合は、速やかに専門医を受診することをお勧めします。